ひょうご☆ふるさと~風だより。

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【日常通信】―蛍の思い出

 

先日、神戸新聞を読んでいると、私のふるさとの川、猪名川で蛍採

りをして楽しんでいる記事が出ていました。

 

今年も蛍が飛ぶのを鑑賞する季節になったようです。早いものです

ね。もうそんな時期ですか。時が流れるのが早く感じます。田圃

水が入って田植えが終わるころには蛍の姿が見られるようになりま

す。近くの川や田圃の溝に行くと蛍が小さな光をつけて暗闇の中を

ゆっくりと優雅に飛んでいるのが見えます。闇夜に浮かぶ蛍の光

幻想的でした。子供の頃は夕方になると近くの川や水田に蛍採りに

行くのが楽しみでした。

 

蛍採りには虫捕りの網のほかに竹のほうきを持っていきます。網で

採るより竹ほうきで蛍が止まっている草むらをほうきではらった方

がよく取れます。子どもは皆、「ホ、ホ、ホータル来い。こっちの

水は甘いぞ。そっちの水は苦いぞ」と歌いながら、夢中になって蛍

を追いかけていました。

 

私達は大きな蛍は「源氏蛍」、小さな蛍は「平家蛍」と呼んでいま

した。源氏蛍の方が体が大きくてお尻に光る明かりが明るくて綺麗

でした。源氏蛍を選んで採って虫篭に入れて家に持って帰りました。

 

当時は川も清らかな水が流れていました。田圃も昔ながらの自然の

ままの農法で農薬などは使っていませんので、水田や川の水際は生

物の絶好の棲みかでした。蛍は闇夜の中を無数に飛んでいます。美

しい光景でした。まだ幼い子供の私には、なぜかこの世の光景とは

思えず、人魂のように見えて怖く感じました。

 

夜になるといろんな生きものが光って見えます。蛍と間違える事も

あるので気をつける必要があります。蛇も夜は目が光ります。蛍と

間違えて手をださないように、母からよく注意されました。蛍は無

数に飛んでいますので、竹のほうきで採るとすぐに虫篭に蛍が一杯

取れました。

 

家に帰ると、家の部屋に蚊帳を張って、電気を消して、蚊帳の中に

蛍を放すと蛍がほのかな光を灯しながらゆらゆらと蚊帳の中を飛び

回っています。その光景を家族が寝転びながら観賞するのが楽しみ

でした。懐かしい初夏の思い出です。

 

昔はすべてがのんびりしていました。私達の子どもの頃は自然が友

達であり、遊び場でした。私は、蛍がどこから出てくるのか調べる

ために、昼に川と溝の草むらを探し回りましたが、分かりませんで

した。今になっても、あんなに多くの蛍が夜になるとどこから出て

くるのか不思議でなりません。

 

最近は蛍を鑑賞する催しが増えているようです。初めて蛍を見た子

供はその神秘さに感動するでしょうね。今年も今頃の季節の夜にな

ると故郷の田園に無数の蛍が明るい光を放しながら飛び回り、夜空

に神秘的な光が浮かんで私達の心を癒してくれることでしょう。

 

60年近く前の懐かしい昔の思い出です。

 

また、家族で近くの川や畑に蛍を探しに行きたくなりますね。

 

2015.5.31. 里山 歩樹