ひょうご☆ふるさと~風だより。

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【日常通信】―雨の日の思い出

今日は梅雨の合間で晴れている。

 

しかし、午後になると黒い雲が出てきた。このところ、夜に雨がよ

く降る。昨夜も激しい雨が降った。夜の雨は歓迎だ。亡き母がよく、

夜に雨が降ると「庭の木々や花に水をやらなくてよいから助かるわ」

と言っていたことを思い出す。

 

母は毎日、庭に出て雑草抜きと植木、草花に水をやるのを日課にし

ていた。庭に出ると蚊に噛まれ「痒い痒い」と嘆いていた。腕に蚊

に刺された跡が赤くなって残っていた。私が、「そんなに毎日しな

くてもよい」と言っても母は止めない。蚊取り線香を腰につけて庭

いじりをしていた。

 

夜に雨が降ると、「雑草がよく抜けるので助かる」と言っていたこ

とを思い出す。雨の日は、蛇の目傘をさして学校に行った。当時は、

傘は竹と和紙で作った蛇の目傘だ。今の人は蛇の目傘と言ってもわ

からないようだ。今はもう、どこにも売っていないので無理はない。

 

先般、病院でリハビリをしているとすぐ近くで若い先生が高齢の患

者さんに雨の歌を歌っていた、その歌詞に中に「母さんが蛇の目で

お迎えうれしいなーー」という言葉があった。若い先生は高齢の患

者さんに、「蛇の目というのは傘の事で私も今日持ってきました」

と説明しているのを聞いた。

 

若い先生はまだ20代なので蛇の目は今の洋傘の事だと思っている

ようだ。おそらく竹で作った日本傘は見たことがないのだろうと想

像した。竹で作った日本の傘は広げると竹の枝が放射状に並んでい

て、とても奇麗だった。強い風が吹いても壊れないように頑丈に出

来ていた。ただ、少し重たかった。

 

今の傘のように折り畳むことはできない。でも風情があったように

思う。雨の日は、歌にあるように母が蛇の目傘を持って迎えに来て

くれた思い出がある。今、考えても、蛇の目傘はよく出来ていたと

思う。何より綺麗でした。職人技でした。傘の色も綺麗で、晴れた

日に沢山の日本傘が並んで干してある光景はキレイでした。

 

以前、京都で世界から要人が集まる国際会議の土産に、京都の蛇の

目傘を贈ったところ大変喜ばれたと聞いた事がある。京都の舞妓さ

んが蛇の目傘をさして歩いている姿を想像してください。蛇の目傘

だから様になります。洋傘では風情も何もありません。蛇の目傘は

日本の伝統工芸品ですね。すぐれた美術品でもある。梅雨の季節に

雨の中、蛇の目傘をさして出かけるのが楽しかった思い出がある。

 

今は、スーパーに行けば、折り畳傘が安く手にはいる。あまりの安

さにビックリする。そのせいかよく忘れる。蛇の目傘は壊れても修

理に出して大事に使ったものだ。私は、雨を思うといつも蛇の目傘

の事を思い浮かべる。懐かしい思い出だ。蛇の目をさして、雨の中

を歩く、昔の雨の日の風情が感じられる風景だ。

 

梅雨の日の雨の思い出。遠い、遠い昔の思い出だ。皆さんは、蛇の

目傘をご存知ですか。一度、また、蛇の目傘をさして雨の中を歩い

てみたいものだ。昔は梅雨も風情が感じられて楽しかった記憶があ

る。

 

それにしても蛇の目傘はよかった。

日本が生んだ優れた工芸品、美術品だと思う。

 

2015.6.22. 里山 歩樹