ひょうご☆ふるさと~風だより。

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【日常通信】―秋の恵みー柿の記憶

 

今日は曇っています。

 

太陽の光が射してこないので、寒く感じますね。いつもより日が暮

れるのが早いように思いますね。秋が一段と深まったように思いま

す。静かな秋の日を自宅で過ごしていると、不意に、「秋深し隣は

何をする人ぞ」という有名な芭蕉の句が浮かんできました。うろ覚

えで間違っているかもしれませんが。

 

薄暗い秋の日は、気分が滅入って、何となくもの悲しさを覚えます

ね。冬の足跡が聞こえてくるようです。今年も残すところ僅かだと

思うと、気が焦ります。季節の移ろいのはかなさを感じます。でも、

秋は食の秋です。食べ物が美味しい秋です。秋には美味しい果物が

沢山出てきます。

 

秋の果物と言えば、私は真っ先に柿を思い出します。昔、住んでい

た家の裏に我が家の広い畑がありました。畑には大きな柿の木が何

本も植わっていました。ほとんどは富有柿でした。大きくて高い柿

の木には久保柿が鈴なりになっていました。しかし、柿の木が屋根

より高くて採ることが出来ませんでした。下から恨めしそうに眺め

るしかありませんでした。

 

富有柿の木はあまり高くなかったので、手でとったり、竹の竿で枝

を挟んで採りました。沢山の木があるので、柿を全部取るのは大変

でした。柿の木には少し柿の実を残しました。野鳥の餌に残すよう

に言われました。久保柿は小さいですが甘くて歯ごたえがあるので

私は好きでした。富有柿は、実が大きくて上品な味がします。畑の

柿の木はほとんどが富有でした。

 

よく採れた年は、柿の枝が折れるのではないかと思う程に大きな柿

の実が鈴なりに成っていました。その柿を採るのは私の役割です。

楽しい仕事でした。柿は手を伸ばせばすぐに取ることが出来ます。

竹の竿で採るのも簡単でした。面白い程沢山の柿が採れました。採

れた柿の一部は近所の家に配って回りました。大変喜ばれました。

それでも沢山残りますので、ダンボール箱に入れて保管しました。

ダンボール箱は10個近くにもなりました。

 

毎日、おやつとして食べました。柿は日が経つと甘味が増してきて

美味しくなります。熟した柿は特に美味しく感じました。母は熟し

た柿が甘くて美味しいと言っていました。柿の中には渋柿もありま

した。実は大きいのですがそのままでは渋くて食べられません。渋

柿は皮を剥いて竹の串に刺して干し柿にして食べました。母の好物

でした。

 

不思議な事に、渋くて食べられない柿が干すと砂糖をつけたように

甘くなります。昔は農家の軒下にはよく柿が干してあるのが見えた

ものです。田舎の、のどかな風景の一つでした。干し柿はお正月に

鏡餅と一緒に飾りました。

 

柿で思い出すのは、山になった野生の柿の事ですね。わが家の山に

野生の柿の木が一本ありました。大きくて高い柿の木でした。急な

斜面にあるので採るのが大変でしたが、あるとき、叔父がその柿を

採って来てくれました。小さな柿でした。しかも渋柿でした。あま

りに小さな実なのでビックリしました。

 

枝に付いたまま、採ってきてくれましたので、花瓶に入れて飾って

もよい程でした。その柿を祖母が渋を抜いてくれました。どんな方

法で渋を抜いたのか分かりませんが。小さな柿が柔らかくなって美

味しく食べられました。昔の人はすごいですね。干し柿にしたり、

渋を抜いたり、生活の知恵ですね。改めて感心しますね。

 

私が暮らしている川西では畑には柿の木が沢山植えてありました。

農家の庭には必ず柿の木がありました。黄色い柿の実がたわわになっ

ているのが田舎の風景でした。その当時はどこでも柿がありました

ので、勝手に柿を採っても誰も何も言いませんでした。のんびりし

た時代でした。今は柿もブランドの柿は高い価格がついています。

 

私達の子供の頃は、柿は畑で採ってくるもので買うものではありま

せんでした。第一、店ではミカンやリンゴはありましたが柿は売っ

ていませんでした。毎日、おやつとして柿を食べていました。本当

によく食べました。柿は沢山採れたので年が明けるまで残っていま

した。

 

今年は、まだ柿を食べていません、ミカンは食べました。先日、リ

ハビリで散歩に出かけた時に畑の近くの家の庭に柿がたわわになっ

ていたようです。

 

もうすぐ今年も柿の季節になります。

楽しみですね。

 

2015.10.10. 里山 歩樹