ひょうご☆ふるさと~風だより。

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神戸の産業振興と経済活性化に40年以上尽くした経験を活かし、
里山歩樹が兵庫の里山から元気に発信します。
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【神戸通信】―神戸空港のこと

今日は、朝方は少し晴れていましたが、その後すぐに曇ってきまし

た。

 

気温は昨日に比べると下がって、寒くなりました。外を見ると曇り

空で、薄暗い冬の景色です。周囲を眺めても灰色の世界で物寂しく

感じます。少し風があります。庭の植木の枝が風に揺れています。

庭の隅に植えた椿の樹をみると、しばらく見ないうちに、ピンクの

大きな花が沢山咲いています。灰色の冬景色の中でそこだけが輝い

て見えます。

 

わが家の椿の花は花びらが大きくて何重にも重なっており、ピンク

のバラのようです。お袋が大事にしていた花です。同じ庭に咲いて

いる山茶花は赤い花びらがだいぶ散っていますが、椿はこれから盛

りでしょう。これからも、目を楽しませてくれるでしょう。

 

「椿咲く ピンクの花が 薔薇のよう 歩樹」

 

12月も中旬になりました。あと2週間で今年も終わると思うと、

何となく寂しさを覚えます。時間に追いかけられるようで落ち着き

ません。気せわしいですね。現役の時は、この時期、国も予算編成

の大詰めの時期で、地元が要望していた事業に予算がつくかどうか

気をもむ時期でした。

 

政府に対して毎年、兵庫県、神戸市と共同して多くのことを要望し

てきましたが、私が現役の時は神戸空港の建設促進が最大の要望項

目でした。私が現役の時に担当した最大のプロジェクトの一つが神

戸空港の建設促進でした。大方30年近く関わってきました。

 

神戸空港にはいろいろな紆余曲折がありました。初めは,騒音公害

が問題になっていた伊丹空港にかわる国際空港を大阪湾の中に埋め

立て海上空港を建設計画でした。そしてその最有力の場所が神戸沖

でした。国を始め関西の経済界も神戸沖に建設することでほぼ合意

していました。ところが、突然、地元の神戸市長郷戸市議会が反

対決議をしました。騒音公害が大きな問題となっていた時期でした。

 

ほぼ決まっていた空港問題が振りだしに戻ってしまいました。国も

関西の経済界も怒りました。仕方なく、このために、関西活性化の

切り札であった関西国際空港の建設が大幅に遅れる事になりました。

そして、いろいろな経緯を経て泉州沖に建設する事になりました。

ところが、その後、神戸市が神戸にも、空港が必要だと言いだしま

した。地元も経済界はもともと空港の建設には賛成です。

 

そこから、地元の政財界挙げての神戸空港建設促進運動が開始され

ました。しかし、一度、国際空港を神戸沖に建設する事に決まりつ

つあったものを、地元が反対したのですから、国をはじめ関係者か

ら猛反発を受けました。怒るのも当然でした。神戸空港は地方空港

でしたが、マイナスからのスタートでした。国に陳情にいっても、

最初は話も聞いてもらえませんでした。

 

私達は、毎年、時期になると東京に出かけていき、当時の運輸省

大蔵省など関係省庁に陳情に回りました。総理官邸にも行きました。

それとともに、有力な国会議員の元にも陳情に行きました。国会に

も行きました。勿論、自民党本部にも行きました。お蔭で、首相公

邸の中を見る事が出来ました。

 

大臣や事務次官の部屋にも行きました。ここが、我が国の政策を決

める中枢本部かと思うと緊張しました。陳情は毎年の予算編成作業

が始まる夏に行くことが多かったと思います。暑い夏の中を汗だく

になって、霞が関の官庁街を陳情に回りました。背広は汗でびしょ

びしょでした。こんな事を30年以上も繰り返してきました。

 

その中で、日本の政策決定のプロセスを垣間見る事が出来ました。

日本の国は一つの事業を決めるのに大変な時間がかかります。沢山

の関係者がいて、全ての関係者の同意を得るのに気が遠くなるよう

な時間と労力がいる事を身に染みて実感しました。神戸空港の建設

が実現するまでに30年以上が過ぎていました.

 

私の定年までに実現したことが出来たのは奇跡のように感じました。

本当にいい勉強になりました。神戸空港が完成して、一番機で乗っ

た時は感無量でした。一番機の窓から見た神戸の綺麗な街や六甲の

山、明石海峡大橋の景色が綺麗で感動しました。私も忘れる事の出

来ない仕事でした。

 

神戸空港も今、いろいろ課題を抱えているようですが、これまでの

大変な努力を思い起こして、最大限に機能を生かして、神戸と関西

の発展に貢献してほしいものです。

 

2015.12.13 里山 歩樹