今日は薄曇りの寒い日になりました。
空を見れば灰色の雲が広がっています。厚い雲が太陽の光を遮って
います。陽が差してこないので昼でも薄暗くて気分も晴れません。
暗いと余計に寒く感じます。部屋にある温度計を見ると６度でした。
部屋の中でこの温度だから外ではもっと低いでしょう。寒いので窓
を開けて外の様子を見る気が起こりません。
窓を開けないでガラス越しに外の景色を眺めました。庭を眺めると
野鳥が飛んで行きました。ヒヨドリです。「ピヨー！」と甲高い鳴
き声を残して飛んで行きまいた。庭の植木の実を食べに来たのでしょ
う。私が窓に近付いたので人気を感じて逃げていたようです。
寒い冬になると小鳥が餌を求めて山から下りてきます。我が家の庭
にも千両や万両の実を食べにきます。以前は双眼鏡で庭にやって来
る野鳥を観察したものです。庭の石にパン屑や果物の皮を置いてお
くとどこからか可愛い野鳥が食べにやってきます。名前は分かりま
せんが、小さな鳥の姿を眺めていると時間が過ぎるのも忘れました。
寒い冬の数少ない楽しみでした。
一段と冷え込む寒空の中でも、梅の花が開花したと新聞に写真が載っ
ていました。ピンクの梅の花が満開になっていました。神戸の岡本
にある有名な梅林では早くも梅が咲き始めて、早咲きの梅は満開に
なっているようです。梅の花を見ると春も近いと思って少し元気が
出てくるように思います。
梅の花と言えばわが家の庭にあった梅の木のことを思い出します。
わが家を今の敷地に建てた時に裏の庭の他に小さな坪庭を作りまし
た。その庭には古い岩の隣に梅の木が植えてありました、その他に
は黒竹が植えてあるだけの簡素な坪庭でした。私はその坪庭が気に
いっていました。亡き母がこの家を建てるときに庭にはいろいろと
拘って、植木屋に依頼して造園をしたものでした。坪庭の梅も木も
母が注文したと思います。
梅の木は季節になるとピンクの小さな花を枝一杯に咲かせます。桜
と同じで葉っぱが出る前に花だけが一斉に開花します。開花した梅
の木の姿は綺麗で見事でした。寒い冬に咲くので一層綺麗に見えま
した。母は家の窓から坪庭の梅の花を眺めて嬉しそうにしていまし
た。
梅の木は高さ３メートル程度でしたが、花は幹や枝にぎっしりと咲
いています。３メートルの梅の木全体がピンクの花で覆われていま
した。本当に綺麗でした。ピンクの梅の木と古い岩と竹林がよくマッ
チしていました。母のお気に入りでした。
ところが一つ困った事がありました。梅の花が咲いて花が散るころ
になると毛虫が枝一杯に出てきました。無数の毛虫が枝や幹にくっ
ついて離れません。刺されると痒くなって赤く腫れあがります。母
は毛虫が大嫌いでした。私も嫌いでしたが、母に頼まれて毛虫を取
ろうとしましたが、毛虫は梅の木の幹や枝にぎっしりとついていて
いくらとっても、きりがありません。
私は困って、殺虫剤を買って来てスプレーでまきました。すると、
毛虫がバタバタと木から落ちますが、それでも毛虫の数が多過ぎて
いくらスプレーをまいても毛虫の数は減ったように見えません。足
元には木から落ちた毛虫が足の踏み場もない程に一杯になっていま
した。それを見ていると気持ちが悪くなりました。その事があって
から、私は梅の花が咲いている近くに行くのが怖くなりました。
坪庭はその後、家を増築した時になくなりました。梅の木も古い岩
もどこかに持って行かれました。今、我が家には玄関の近くに６０
センチぐらいの大きさの植木鉢に小さな梅の木が植わっています。
小さいですが季節になると白い花を沢山咲かせてくれます。先日、
玄関に出た時に眺めると小さなつぼみが枝に一杯出ていました。そ
の梅の木は正月の松竹梅の盆栽を私が庭に植え替えた木です。
盆栽の時は５センチほどの小さな木でしたが、庭に植え替えると大
きくなりました。白い可愛い花を枝一杯に咲かせてくれます。花が
散った後には立派な梅の実もつけてくれるときもあります。小さな
木ですが梅の実は普通の梅の木と変わりません。家内は梅干しを作
るのを楽しみにしています。
今年も、もうしばらくすると綺麗な花を咲かせてくれる事でしょう。
楽しみです。
「梅の花 早や開花する 春近し 歩樹」
２０１６．１．２３． 里山 歩樹
