昨日、神戸新聞を読むと、長田に建っている鉄人28号の写真が出ていました。
鉄人28号の設立に尽力した地元の商店街の人の写真も出ていました。私は、仕事で長田によく行って、地元の人ともよく話したことがありますので、なつかしくなりました。
長田は25年前の大震災で甚大な被害を受けた町です。その復興を図るため、当時では日本最大規模の再開発を進めてきました。
ところが、再開発の規模があまりにも大きすぎて、建設したビルには空き店舗が目立って大きな問題となりました。今でも、街は人通りが少なくて、さびしい町となっています。
マスコミなどでは、大震災からの復興の街づくりの失敗例だと指摘するところも多いようです。いま考えると、震災後は復旧復興を急ぎ過ぎて、再開発が目的化していたように思いますね。
あまり急ぎすぎたために、どういう街づくりを進めようか、街のビジョンや夢についての議論が少なかったように思いますね。鉄人28号はこのような長田に以前のにぎわいを取り戻そうとして、地元の有志が力をあわせて28号の建設を進めてきたものです。
私は最初にその話を聞いたときに、長田にそんな大きな建造物を建設する力があるのか不安に思ったものでした。ところが、私の不安とは関係なく、見事に鉄人28号の建設が成し遂げられました。地元の商業者の力に驚かされました。
鉄人28号は、今や、長田の復興の象徴となっています。長田は、昔は、大変にぎわっていたと聞きます。神戸の商業の中心であったと聞きます。大正筋商店街、六間道商店街には、往時には人であふれていたようです。
以前は長田の商店街が神戸の商店街の中心だったと言われています。長田には、神戸ではじめての「神戸デパート」がありました。
特に長田には、すぐれたリーダーがおられました。長田の商店街の理事長は、神戸市内の商店街を取りまとめる「神戸商店街連合会」の会長を長く務めておられたと記憶します。
あの大震災で、街の商店街が壊滅的被害を被ったときも、いち早くテント村を開設して、商店街の復興を図られました。
あの大震災にも関わらず、すぐに商店街を立ち上げた底力には、みんながびっくりしました。それもすぐれたリーダーがおられたので、そのような取り組みが出来たことと思います。
私は仕事で、市内外の商店街をよく知っていますが、長田の商店街の皆様のようなすぐれたリーダーがおられるところは少なかったように思いました。長田には、下町の底力がありました。
しかし、大規模な再開発で以前の長田らしい下町のおもかげがなくなりました。大震災の影響とはいえ、少しさびしく感じます。
長田はくつの街です。長田地区は、日本のくつの最大の生産地でした。
しかし、長田のケミカルシューズが、海外の安い商品に押されて、今では輸出ができなくなりました。そのため、長田の経済力が下がって、街も活力がなくなってしまいました。
長田には、「くつのまち・長田」があって、そこでは長田のくつが生産、販売されています。長田では、毎年「くつっ子まつり」が開催されます。場所は28号の近くだったと思います。
くつっ子まつりでは、長田のくつメーカーが自社の製品を格安で販売してくれますので、当日は全国から大勢の人が訪れます。
価格が普段の半額ぐらいまで安くするので、来られた人は、まとめ買いをする人が多いです。私はよく、ビジネス靴を買いました。2000円程度で革靴を買うことができました。
また、長田は食の街でもあります。特色ある食品を生産するメーカーが長田には多くあります。その中でも、私が一番よく知っているのが、「伍魚福」です。
「伍魚福」はいかなごのくぎ煮で有名です。くぎ煮は神戸の名産品としてよく知られていますが、この「くぎ煮」という名称は、「伍魚福」の商標だと聞きました。
私はくぎ煮が大好きで、よく買って食べましたが、「伍魚福」のくぎ煮の味は絶品です。特に、私はくるみの実が入ったくぎ煮が大好きでした。以前、和歌山の友人に贈ったときも、大変喜んでくれました。
その他、長田には食メーカーがいろいろあります。MCC食品の工場も長田にあったと思います。そのMCCの工場では、鉄人28号のカレーの缶詰を作って販売していました。観光客に大変人気があったと聞きます。
この鉄人28号のカレーも、地元の商業者の皆様が開発された商品です。
長田には、有名な「そばめし」を食べさせてくれる店もあります。私はそばめしが好きでよく食べに行きました。長田はお好み焼きの店も多く、こなもんの街と言われて、全国のこなもんの企業の店が集まって「こなもんサミット」も開催しています。
これも地元の人のアイデアです。このように、長田にはすぐれたリーダーがたくさんおられ、この人達の力が長田の街を支えています。
長田は、今は厳しい時代が続いていますが、すぐれたリーダーがおられるので、必ず長田は復興すると私は信じています。
街づくりには時間がかかります。地元の人が力をあわせてアイデアを出しあっていけば、必ずこれからの25年間には長田がかつての輝きを取り戻すと信じています。
そのためには、どういう街にしたいのかについてのビジョン、夢、ロマンが不可欠です。ビジョンない街づくりは長続きしません。
街をつくるのは、行政でも、コンサルタントでもありません。街の人が街をつくるのです。地元の人々が街づくりの中心です。
地元の人々の力で、かつての長田の人情味あふれる街を復興して下さい。
よろしくお願いします。
長田、ガンバレー!!
2019.12.28.午後3時35分
里山 歩樹 (藪野 正昭)