宝塚にあった老舗ホテル「宝塚ホテル」が先般、閉館となりました。
宝塚ホテルは、宝塚歌劇を見るために宝塚にやってくる人々のために建設されたホテルでした。
宝塚ホテルを建設したのは、神戸にあった有名ホテル「オリエンタルホテル」を設計した建築家だったと思います。神戸にあった「オリエンタルホテル」は外国人居留地の中に建設され、当時は東洋一のホテルと言われていました。
その「オリエンタルホテル」を設計した建築家が、宝塚の武庫川沿いにおしゃれな洋風ホテルを建設しました。宝塚ホテルは阪急宝塚南口駅のすぐ前にありました。白い色のおしゃれなホテルでした。宝塚の街によく合っていました。
私は現役のときはいつも阪急宝塚線を乗っていましたので、毎日、車窓から宝塚ホテルをながめていました。あまり大きな建物ではありませんが、ちょうどよい大きさのレトロな感じのホテルでした。
私は宝塚ホテルにはいろいろな思い出があります。
私は神戸に勤務していましたが、そこの団体で同じ職場で働いていた女性職員と結婚することになって、結婚式をどこでするかいろいろ探していたときに、宝塚ホテルがよいと考えて、女性と一緒に宝塚ホテルを訪れて結婚式を申し込もうとしましたが、残念ながら、式場が空いていなかったので、あきらめて神戸の「オリエンタルホテル」で結婚式をすることになりました。
当時は、神戸ではホテルといえば「オリエンタルホテル」が一番有名でした。「オリエンタルホテル」は、天皇が兵庫県に来られたときはいつも「オリエンタルホテル」に宿泊されている由緒あるホテルでした。
私は仕事でよく「オリエンタルホテル」を利用していましたので、支配人をはじめ幹部の人もよく知っていました。「オリエンタルホテル」は格式のあるホテルで、サービスや料理も一流でした。
そのとき結婚した女性が、今の家内です。家内は生粋の神戸っ子ですので、神戸の「オリエンタルホテル」のこともよく知っていたようです。
私達が結婚してからしばらくして、私が課長をしていたときに、部下が職場の女性と結婚することになりました。その結婚式場が宝塚ホテルでした。
若いペアは二人とも神戸出身でしたが、わざわざ「宝塚ホテル」で挙式をすることになりました。今考えると、女性が宝塚歌劇のファンだったのではないかと思います。
「宝塚ホテル」の結婚式には、私は主賓として参列することになりました。そして、来賓として披露宴でのスピーチと乾杯の発声をすることになりました。そのときの仲人は、私の上司でした。
そのために、出席者の中には私が勤務していた団体の役員も出席されていました。乾杯の発声をするときには大変緊張しました。シャンペンで乾杯の発声をしましたが、あまり緊張していたので思わずシャンペンを落としそうになりました。
私達が結婚式を開くことができなかった「宝塚ホテル」で、部下の披露宴に出てスピーチと乾杯をすることになったのは、私達と「宝塚ホテル」には何か縁があるように感じました。
そのとき、「宝塚ホテル」はおしゃれなホテルで、よいホテルだなと改めて感じました。
「宝塚ホテル」の一階には、道路に面したところにカフェがありました。窓から外の景色が見えるおしゃれなカフェでしたので、私も何度かコーヒーを飲みに出かけたときがありました。
ホテルの一階のロビーの周りに洋服店や雑貨のおしゃれなブティックがありました。2階にはレストランがあって、そのレストランに行く階段にはきれいな絨毯が敷かれていました。
私達は家内と娘で、よく「宝塚ホテル」のレストランに行って、夕食をとったことがあります。レストランでは、世界の各国のビールがありました。そのビールを飲みながら、いろいろな料理を楽しんで食べました。
料理にはドイツのウィンナーや、ピザなどもあって、いろいろな料理を楽しむことができました。「宝塚ホテル」は阪急宝塚南口のすぐ前にあったために、帰るのには便利でした。
このように「宝塚ホテル」と私達には、いろいろな思い出があります。今考えても、おしゃれなホテルでした。
その思い出の「宝塚ホテル」が取り壊されることになるのは誠に残念です。「宝塚ホテル」は古いホテルなので、改築もやむを得ないと思いますが、何も、取り壊す必要はないと思いますね。
日本では古くなるとすぐに取り壊す傾向にありますが、残念ですね。日本は古くて歴史的な建物はもっと大事にすべきだと考えます。
私は「宝塚ホテル」も、取り壊さずに、宝塚歌劇などの歴史資料館として、利用できないかと考えます。日本唯一の女性だけによる宝塚歌劇の歴史を展示するミュージアムにすれば、多くの人が訪れるのではないかと考えます。
新しいホテルは宝塚歌劇の大劇場のそばに建設されるようですが、あのおしゃれなデザイン性のすぐれた「宝塚ホテル」がなくなるとは誠に残念です。
私達の思い出のホテルがなくなると思うと、残念でなりません。
2020.4.4.(土曜日)午後12時15分
里山 歩樹 (藪野 正昭)