兵庫県には全国的に有名な地場産業がたくさんあります。兵庫県の地場産業の多くは、ファッション産業と位置づけられて、官民挙げてその振興に努めてきました。
兵庫県の地場産業の多くは、かつては輸出産業として発展してきました。ところが、ニクソンショックで、円が急騰したために、輸出の競争力が失われて、中国などの海外の安い商品に市場を奪われて、急速に衰退してしまいました。
その代表的な地場産業として、西脇地区に集積していた播州織物があります。播州織物は、先染めの織物として、世界に輸出されてきました。
播州織の織り生地は、特に有名でした。その播州織物も、円高で、輸出がほとんどできなくなりました。今や国内向けに生産されるだけとなりました。
西脇地区に集積している播州織物は、兵庫県の地場産業としては最大の生産額を誇ってきました。今では国内向けの高級生地として、生産されています。
もう一つの地場産業としては神戸の長田地区のケミカルシューズがあります。
ケミカルシューズもかつては有名な輸出産業でしたが、これも近年は海外の安い商品に市場を奪われて、生産高もピークの半分以下まで減少しています。そのため、長田地区の街全体が衰退しています。
もう一つの、大きな地場産業として、豊岡のカバンがあります。豊岡のカバン産業は、ケミカルシューズなどと同じく輸出産業でしたが、今では国内向けに高級カバンとして全国の百貨店などで売られるようになっています。
近年はデザイン力の強化に取り組んできて、そのおかげで、今では豊岡は日本一のカバンの産地として知られるようになっています。豊岡カバンの街として有名になっています。
豊岡はカバンの産地です。かつては有名ブランド会社のOEMとして、生産の委託を受けていました。近年は豊岡独自のブランド製品を生産して、豊岡カバンは高級カバンとして全国の有名百貨店で販売されるようになってきました。
また、三木の金物も有名です。三木の金物も近年はデザインや技術の向上に努めてきました。その結果、三木の金物は国際的な展示会に出品して、高い評価を得るようになっています。
三木の金物の中には、ドイツのゾーリンゲンの商品以上の評価を得るところも出てきています。
例えば加古川の靴下、小野のそろばん、淡路の瓦、線香、さらに、神戸の真珠などなど兵庫・神戸には多様な地場産業があり、それらの地場産業が、兵庫・神戸経済を支えてきました。
ところが、これらの地場産業の多くが円高で競争力を失い、海外の安い商品に市場を奪われたために、急激に停滞してしまいました。
兵庫・神戸経済がかつての力を失ったのは、これらの地場産業に変わる新しい地場産業が育ってこなかったことが大きな原因です。
このことは、兵庫だけでなく日本全体にも言えることです。古くから日本経済を支えてきた伝統ある地場産業が衰退してしまったことが、地域経済の衰退につながっています。
今まで地域経済を支えてきた地場産業が衰退して、それに代わる新しい地場産業が育ってこなかったことが地方の衰退につながっています。
今の日本経済の最大の課題である地方経済再生のためには、現代の時代にあった新しい地場産業を地域で育成していくことが重要です。地域地域の自然や文化、技術を活かして新しい地場産業を育てていくことが求められています。
私は兵庫・神戸のように多様な地場産業をデザインや文化性の高い、ファッション産業として育てていき、世界に発信していくことが求められています。
神戸は40年以上も前に地場産業をファッション産業として位置付けて、その発展に努めてきました。
私は、地場産業を高価値のファッション産業として位置付けたのは、すぐれた発想だと考えています。全国でも新しい地場産業をファッション産業として振興していくことを期待します。
ファッション産業は、神戸では、衣・食・住・遊、全般の生活文化産業と考えています。
「今こそ、全国で、新しい地場産業を育てましょう!!」
2020.4.17.(金曜日)午前11時45分
里山 歩樹 (藪野 正昭)