先日の神戸新聞に、神戸・三宮の都心の再開発計画について記事が出ていました。
神戸の三宮では、かねてから都心の再開発が重要な課題となっていました。
神戸では、25年前の大震災以降は都心の再開発はほとんど行われていませんでした。このため、都心の再開発を大規模に進める大阪、福岡、川崎等の都市に比べて、都心の魅力が落ち込んでいました。
そのため、神戸では数年前からようやく阪急三宮駅、JR三宮駅の再開発が計画されてきました。阪急三宮駅の再開発については、すでに建設が進み、2年後には完成する予定です。
しかし、JR三宮駅の再開発については、いまだに計画が決まっていません。古いビルの解体は今行われていますが、新ビルの計画はまだ決まらないままです。JRでは、新しいビルにどういう機能を入れるかを決めかねているようです。
都心の駅ビルですので本来ならば入居者は山ほどあるはずなのに、それが、神戸では入居が心配されているようです。それだけ、神戸の三宮の都心の魅力が下がっているということですね。
三宮では、そのほかに、現在の中央区役所の跡地に、ツインの高層ビルの建設が計画されています。ツインビルの一階には、西日本最大のバスターミナルが予定されています。
それに加えて、現在の神戸市庁舎2号館の建て替えが計画されています。このビルも30階以上の超高層ビルの予定です。これらの再開発計画の総事業費は7000億を大幅に超えるとのことです。
神戸では大震災以降の最大の事業です。その完成が待たれます。神戸市での計画では、経済効果は事業費の1.5倍、雇用人員は1万5000人以上に上るとのことです。
ところが、その完成時期を読んで、私は驚きました。なんとすべての事業が完成するのは、2050年度とのことです。今からまだ30年もかかります。30年と言えば、時代が変わってしまうほどの長い期間です。
あまりにも、遅すぎます。神戸・三宮は30年間も、今の状況が続くと思うと、あまりにも、スピード感に欠くのに驚くほかありません。
大阪、福岡の主要都市では、どんどん再開発が進み、発展していきます。このままでは、神戸の三宮の都心では、ますます全国の都市に比べて、取り残されていきます。
あまりにもスピード感に欠ける都市再開発計画には失望せざるを得ません。なぜこんなに時間がかかるのか、私にはよく理解できません。また神戸は遅れてしまいます。
それと私が心配しているのは、三宮では、超高層ビルが林立して、神戸の街並みがすっかり変わってしまうことです。
東京や大阪のように高層ビルが立ち並ぶ箱ものの再開発が進められて、神戸らしい街並みがなくなってしまうのではないか、心配になります。
神戸は、東京や大阪と違って、街並みがヒューマンスケールで、人間にやさしい、きれいな街並みが形成されてきました。それが神戸の最大の特徴でした。その神戸らしさがなくなるのではないかと心配しています。
神戸の街には、超高層ビルは似合いません。神戸の街はあくまでも、人間にやさしいヒューマンスケールの街を維持してもらいたいものです。大きなビルやその規模を誇るだけでなく、どういう施設をつくるのかが、最大の問題です。
私が思うに、現在の三宮の都心での再開発プランでは、利便性や機能性、経済性ばかりが重要視されて、ワクワク感やロマンやビジョン、夢を感じることができません。
街づくりにはワクワクするようなロマンや理念が必要です。残念ながら、今のプランにはそれが感じられません。
神戸の三宮の都心は、これから、どうなってしまうのか大変不安になります。
まだ30年もかけて行う再開発ですので、もっと、ワクワクするようなロマンや理念が感じられるような計画づくりをぜひ望みたいものです。
「三宮再開発にビジョンとロマンを!!」
2020.7.1.(水曜日)午後12時
里山 歩樹 (藪野 正昭)