神戸の観光スポットといえば異人館で有名な北野が挙げられます。
北野は、NHKの朝ドラ「風見鶏」でドラマの舞台となって一躍有名な観光地となりました。
それ以来、神戸の観光地として北野はいつも最も人気のある地域となっています。私は長く神戸に勤めていましたので、時間があるときは北野によく散歩に行きました。
私がはじめて北野に行ったときはまだ知られていませんでしたので、外国人が多数生活している異国情緒ゆたかな、静かな住宅地でした。当時は、北野の街を歩くと、あちこちから外国人の人の話し声が聞こえてきました。
外国の方が街の中で遊んでいたりして、静かなおしゃれな住宅地でした。その北野が朝ドラの舞台となってからは、急に、観光客として注目されて、全国から多くの観光客が北野にやってくるようになっていました。
行政も、北野町の歩道を整備したり、異人館を観光施設として整備するようになりました。そのせいで、北野町は、神戸の一大観光スポットとなりました。北野町の街には、若い女性などの観光客であふれるようになりました。
その観光客を目標にしたおしゃれな商業ビルがたくさん建設されました。北野は日本でも有数の観光地として注目されるようになりました。そのため、地価が急騰しました。
その結果、北野は以前の静かな、多くの外国人が住む住宅地としてのおもかげは薄れていきました。あまり観光客が多くなったので北野で長く暮らしていた多くの外国人が、北野から離れていきました。
私は北野の若手の経営者とつながりがあったので、その若手の経営者がこれからの北野の街づくりを考える研究会を立ち上げることになって、私もそのメンバーに参加することになりました。
その研究会の中には、のちに世界的建築家になる安藤忠雄氏も入っていました。
私ははじめての研究会に行ったときに意見を求められたので、北野の行き過ぎた観光地化に対して疑問を呈して、北野の街の雰囲気をいかした夜でも楽しめる「社交の場」としての北野の街づくりを進めるべきだと提案しました。
神戸はファッション都市ですが、残念ながらおしゃれを楽しんでファッションを表現する場所がありません。そして、神戸は特に夜に楽しむ場所がありません。
そこで私は北野の街に、夜も楽しめる社交の場を整備すべきだと提案しました。北野には「北野倶楽部」などの有名な社交の場がありますが、そのような場所を北野の街にあちこちにつくれないかと考えていました。
北野は今も、観光地として、若い女性客が訪れていますが、残念ながら、神戸市民はほとんど北野には行きません。
特に夜になると、北野の街は真っ暗で人通りもありません。夜になると北野町はさびしい街になっています。
私は、神戸市民はもっと北野の街に出かけていって、食事を楽しんだり、美術館に行ったり、ギャラリーに行ったり、ショッピングを楽しむなど社交の場としてもっと北野の街に行くことを勧めます。
「神戸の皆様、もっと北野に行きましょう。」
2020.9.28.(月曜日)午後12時10分
里山 歩樹 (藪野 正昭)