今日は、寒さが一段と進みました。
師走に入ると、時間が過ぎるのが早くなるように感じます。なんとなく気ぜわしくなくなって、落ち着きませんね。私は、この時期になると、小さな子供の頃のことを思い出します。
子供の頃は、私が住む田舎では、12月に入るとあちこちの家でもちつきが始まります。あちこちから、おもちをつく「ペッタンペッタン」という音が聞こえてきました。
私の子供の頃は、おもちはそれぞれの家でつきました。どの家にも、もちをつくためのの臼と杵がありました。それぞれの家の中には、大きなかまどがあって、そこでまきでかまどに火をつけて、もち米をむして、臼と杵を使ってもちをつくりました。
もちつきは、日本では、12月の寒い時期の風物詩でした。我が家でも、土間に大きなかまどがあって、そのかまどで熱湯をわかし、せいろでもち米をむして、湯気が出ているもち米を臼に入れて、木の大きな杵でもちつきをしました。
私も子どもながら、もちつきがしたくて、杵をもって、つこうとしましたが、杵が大きく、重くて、うまくもちつきができないので、くやしい思いをしました。
もちつきは、普通、頑丈な男性がつきました。女性は、杵にもちがつかないように、タイミングを見て、もち米に湯をかけていました。私は、男性の杵が、女性の頭に当たらないかと、ひやひやしながらながめていました。
つきたてのもちは、まだあったかくて、やわらかで、手でさわると気持ちよく感じました。つきたてのもちは、そのまま食べることができます。つきたてのもちにダイコンのおろしをつけて食べると、絶品の味です。
ダイコンのおろしの少しにがい味が、もちによく合って、のどごしがよくて、すーと食べられます。いくらでも食べることができました。また、つきたてのもちに、きなこや砂糖をまぶして食べました。その味も最高です。
もちはいろいろな種類のもちをつくりました。まずはじめに、正月用の鏡餅をつくりました。昔は、鏡餅は、それぞれ自宅でつくっていました。そのあとで、正月のおぞうに用のまるもち、さらにあんの入ったあんもちもたくさんつくりました。
つくったもちは、自宅の火鉢で焼いて食べました。火鉢の炭火でもちをやくと、ぷーとふくらんでやわらかくなります。そのやわらかくなったもちに砂糖をつけてたべるのが好きでした。
あんもちをやいて食べると、あんが中からでてきて甘くて、おいしい味がします。あんもちはおいしいので、家族全員が食べるので、すぐになくなりました。私は、もちが大好きです。
正月に食べる、ぞうにの入ったもちがとくに好物でした。すましに入れて焼ぞうににして食べるのも大好きでした。
今は、もちをつくるのも、便利なもちつき器があって、簡単に作ることが出来ます。正月にかぎらずいつでももちをつくることができます。便利になりましたが、季節感がなくなりましたね。
もちつきは、私が子供の頃、12月の寒い季節の田舎の風物詩でした。もちつきは、今では失われた風景になりました。子供の頃のもちつきの風景が、なつかしく思い出されます。私が子供の頃の風景は、もちつきの他にもいろいろと失われましたが、もちつきもそのひとつです。
また、子供のころにしたもちつきをしてみたいですね。
私は、今も、ときどきもちつきのなつかしい風景を思い出します。
2019.12.7(土曜日)午後3時40分 里山 歩樹(藪野 正昭)