今日の、新聞を読んでいると、兵庫県からの人口流出が今年1月~9月で6000人以上と、全国47都道府県の中でワーストと出ていました。
兵庫県ではかねてから、人口減が大きな問題になっていましたが、ワーストとは驚きますね。兵庫県内には神戸市をはじめ西宮市、尼崎市、姫路市の大都市があるのに、なぜ兵庫からの人口流出が全国1位なのかよく理解できませんね。
隣の大阪府は、ここ20年間ほどは人口流入が続いて、この10年の内に人口が10万人以上も増えています。隣の大阪府で人口が増えているのになぜ兵庫県は減少しているのか、その要因を分析する必要がありますね。
私はその要因で一番大きなものは、兵庫県の産業の衰退にあると思います。兵庫県は大学がたくさんありますが、卒業すると多くの人が県外へ就職してしまいます。
また、兵庫県内の大企業もどんどん東京へ流出してしまって、せっかく県内の企業に就職しても大企業の本社が東京に移転したため、従業員の多くが東京転勤になってしまいます。
兵庫県には全国的な大手企業がたくさんありますが、そのほとんどの企業が、本社機能を東京に移しています。神戸は川崎重工業、神戸製鋼所、住友ゴム、ワールド、UCC上島珈琲も、東京に本社機能を移しています。
登記上は神戸に本社を置いていますが、東京本社と神戸本社の2本立てになって、トップや役員はほとんど東京駐在で、神戸本社には役員はほとんどいないのが実態です。このため、本社機能のほとんどは東京本社に移ってしまっています。
神戸の本社に就職した優秀な社員も、ほとんどが東京に移ってしまいます。私は地元企業の東京への流出が、兵庫県の人口流出の最大の要因だと思います。兵庫県など行政は人口流出の原因を分析して、抜本的な対策を講じることが求められます。
それと重要なことは、県内産業構造の高度化、情報化を進めて、IT関連や情報関連の産業を育てていくべきです。兵庫県の産業構造は、この半世紀ほど重厚長大型から変わっていません。
京都のようなグローバル企業が育っていません。兵庫県の産業構造の高度化、情報化が急がれます。これまで兵庫県は川重、神戸製鋼、三菱重工、三菱電機などの重厚長大型企業に頼りすぎてきました。
情報化、ソフト化に対応した企業が育っていないことが最大の問題です。
人口流出対策の最大の課題は、産業構造の高度化です。
行政はこれまで以上に産業振興策に力を入れて、県内企業の本社機能が兵庫県に戻るように働きかけるべきです。
行政のこれからの産業振興策が試されています。
2020.11.17.(火曜日)午後12時50分
里山 歩樹(藪野 正昭)