今年もあと1カ月以内となりました。
幸い今のところはまだ寒さがおだやかで助かっています。私は元気なときは、里山歩きがただひとつの趣味でした。
春や秋の天気の良い日は、近くの里山に行って山歩きを楽しんだものです。冬は里山に行くのは控えていましたが、その中でも、天気のよい日は、近くの里山に出かけることがありました。
冬の里山は、落ち葉がつもっているため、山道を歩くと、「サク!サク!」というここちよい音が聞こえてきました。私はその落ち葉の上を歩く音と、感触が好きで、冬の里山に出かけました。
冬の里山に入ると、つめたい風が吹いてきましたが、空気が澄みきっていて、山の周りがきれいに見えました。私は寒さに耐えながら、里山の中を落ち葉を踏みしめながら山歩きを楽しみました。
里山の木と枝はすっかり葉が落ちて、木々は幹と枝だけの寒そうな姿で立っています。そのすっかり葉が落ちた木々の間を小鳥が群れをなして飛び回っていました。
小鳥のさえずりの音があちこちから聞こえてきました。メジロ、ホオジロ、やまがら、などの小鳥のさえずりがここちよく感じます。小鳥の中にはキツツキの仲間もいて、枯れた木をつついている音が聞こえてきました。
葉の散ってしまった木々の枝を見ると、わずかに小さな新しい芽が出てきています。来年の春に備えて新しい芽が出ているのを見るとうれしくなりました。
里山の谷川を流れるせせらぎの近くに行くと、「チリチリチリ」という澄みきったせせらぎの音が聞こえてきました。せせらぎの中に手を入れると、氷のようにつめたい水中でした。
私は、そのせせらぎのそばに座って持って行ったミカンを食べて、のどをうるおしました。
私が子供の頃は、冬は我が家の山に行って、まきにするくぬ木を切り出すのが仕事でした。子供の頃は近くの我が家の山へ、くぬ木を切り出すため毎日のように行ったものです。
そして、松林では落ち葉を集めて、大きなカゴに入れて、持ち帰ったものです。私が子供の頃は、里山に行くと、あちこちで炭焼き窯があったことを思い出します。子供の頃はどこでも、冬になったら、まきを作るための窯がありました。
山のあちこちから、炭焼き窯から出る白い煙が見えたものです。今では炭を使うことはなくなりましたが、昔は、炭がなければ冬を過ごすことはできませんでした。
寒い冬に、炭に火をつけて、火鉢を抱えて、暖をとったものです。今でも子供のときに、里山に木を切り出しに行ったことがなつかしく思い出されます。
私は冬の里山に行くときは家の犬をよく連れていきました。犬は山に行くといつもより元気になって里山の中を走り回っていました。
冬の里山の中で遊んでいると、小鳥がすぐ近くまで寄ってきて、驚いたことがあります。人がいても逃げようとしない緑の鳥がいました。名前はわかりませんが、私達はあほう鳥と言っていたように思います。
今年もいよいよ冬が深まってきました。
なぜか、子供の頃に里山に遊びに行ったことがなつかしく思い出されます。
2020.12.9.(水曜日)午後3時50分
里山 歩樹 (藪野 正昭)